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都市再構築・中心市街地活性化講習会2019講演内容紹介

都市再構築・中心市街地活性化講習会2019

講演内容紹介

※敬称略

「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生

国土交通省 都市局

市街地整備課長 渡邉 浩司

 全国の地方都市において、中心市街地の活性化は依然として重要な課題であることに加え、都市のコンパクト化を進めることと地域の稼ぐ力を向上させることが、街づくりの重点課題となってきている。官民のパブリック空間をウォーカブルな人中心の空間へ転換し、民間投資と共鳴しながら「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を形成することにより、多様な人材、関係人口の出会い・交流を通じたイノベーションの創出や人間中心の豊かな生活を実現する都市を構築することが求められている。

 こうした新たなまちづくりの方向性に関する国の最近の取組についてご講演いただく。

花巻市の地域創生の実現にむけて

岩手県花巻市長

上田 東一

 花巻市は、平成286月に「花巻市立地適正化計画」を全国で3番目に策定し、「都市機能誘導区域」において、広場整備や私立病院及び看護専門学校の移転事業の支援をはじめ、老朽化した大型遊休不動産の跡地を活用した災害公営住宅の整備やコンビニエンスストアの誘致に加え、国の制度を活用した子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅を民間事業者の協力を得て整備するなど、まちなかの再生を進めながら、若者の力を活かした、空き店舗や遊休地などをより付加価値の高い役割を果たす使い方をし、賑わいや新たな雇用・産業を生み出す「リノベーションまちづくり」を積極的に取り組んでいる。

 また、周辺部の生活サービス拠点を結ぶ幹線路線バスを維持しながら、維持困難な路線について、予約応答型乗合交通(デマンド交通)を導入し、医療・福祉施設や商業施設などにアクセスしやすくし、医療福祉サービス機能や生活サービス機能をしっかりと維持できる「コンパクト・プラス・ネットワーク」を実現し、持続可能な都市形成に向けて事業展開している。

 さらに、今、郊外にある図書館を街の中心部にある駅前周辺に「市民(利用者)に新しい価値を与える図書館」として、官民連携による図書館複合施設の整備を検討し、まちなかの活性化に注力している。

 これらの施策や中心市街地におけるプロジェクト等についてご紹介いただくことで、地方都市の中心市街地活性化と立地適正化についての示唆をご提供いただく。

皆が集まる小江戸川越と中心市街地の活性化

川越市 都市計画部 

都市計画課長 小林 武

 人口は約353千人(2019.6.1現在)、現在でもわずかに人口が増加している埼玉県南西部地域の中核市である川越市は、2022年に市制施行100周年を迎える。江戸時代、江戸に一番近い北の守りとして、代々幕府の老中・大老格の重臣が藩主として配置され、また、江戸への物資の集散地として、舟運などで大きく栄えた。市のシンボルである時の鐘、蔵造りの町並みが残る伝統的建造物群保存地区には多くの観光客が訪れており、平成30年度の入込観光客数は7342千人と過去最高を記録するが、この現在の盛況の始りは地元住民によるまちづくり活動であった。

 商業の中心が川越駅周辺に移り、80年代には活気がなくさびれた商店街となっていたが、住民による店蔵の保存運動が行政を動かし、市が改修補助による支援やメイン通りの電線地中化や周辺街路の美装化を行い、現在の姿となっている。

 この模範となった官民連携の街づくり活動を市内各地に拡げるため、2014年に施行した「川越市地区街づくり推進条例」について、また、今後20年先を見据えた新たな都市戦略ビジョンとして策定した「川越市立地適正化計画」についてご紹介いただく。

藤枝市中心市街地の官民連携と既存ストック活用によるまちづくり

藤枝市 都市建設部

都市政策課長 兼公共交通政策室長

小柳津 好弘

 JR藤枝駅周辺の中心市街地は、商業集積の吸引力の低下や、暮らしの質に係る福祉・子育て、文化・学習の機能の不足などの課題があり、平成20年から本格的に中心市街地活性化事業に着手した。

 藤枝市の中心市街地の活性化を進める上でのスタンスは、民間の資金やアイデア、ノウハウを積極的に導入することであり、市は、積極的に情報収集を行い、民間事業者の事業実現に向けたバックアップを行っている。その成果が近年実を結び始め、路線価の4年連続上昇や、空き店舗への出店の顕著化などの効果が発現されている。

 そうした市のスタンスのもとで実現した、市有地を民間活力で活用した3つの拠点づくりなど今日までの展開状況と、ICTを活用した今後のまちづくりについてご紹介いただく。

新しいパブリックのつくり方

株式会社nest

代表取締役 青木 純 

 南池袋公園とグリーン大通りを含めたエリアの価値を高めるため、民間主導の公民連携により、公共空間の活用、市民を巻き込んだ日常づくりに取り組んでいる。社会実験により、風景をつくり、ハード整備につなげ、ソフトとハードの両方から公園とストリートを変えていく事例を紹介していただく。

 また、自身が生まれ育った豊島区で都市経営課題に直面し取り組まれた事例や、全国でのリノベーションまちづくりの事例についてもご紹介いただく。